家庭菜園や畑でにんにくを作り、乾燥させて黒にんにくとして売るのはどうか?
にんにくとしてそのまま売るよりも黒にんにくに加工して売った方が儲かるのでは?
販売を考えているがその販売をすることに対しての疑問がでてきます。
すぐにでも販売できればよいのですが
- 販売するためには許可や手続きは必要になるのか?
- 販売して売れるようになるためにはどんなことをしたらいいの?
といった疑問が尽きないことと思います。
結論を言うと、黒にんにくを販売するためには許可や届け出が必要な場合があります。
黒にんにくを販売する、と一言でいっても、様々なシチュエーションが考えられるでしょう。
この記事では、黒にんにくを販売するために必要な許可や届け出、資格が必要なパターンを解説しています。
黒にんにくの販売を成功するためのコツなども解説していますので許可申請から販売までを失敗しないためにも必ず最後まで読むようにしてくださいね。
黒にんにく販売に必要な許可は?
黒にんにくは基本、にんにくを乾燥させたものになります。
それぞれ、どのような販売許可があるのかをまずみていきましょう。
自身で栽培したにんにくを加工する場合の許可は必要ない
自身で栽培したにんにくを乾燥させ黒にんにくとして販売する場合は資格や許可は必要ありません。
しかし、仕入れしたものを販売する場合や簡易的にでも加工する場合は食品衛生責任者の設置と営業の届け出が必要な場合があります。
令和3年6月から食品衛生法が改正されたことにより、営業許可の見直しや届け出制度の創設がされました。
各都道府県で多少の違いはあるものの、ほとんどの場合に置いて、届け出や許可が必要です。
にんにくは自身で栽培する場合は農業採取業として捉えられますが、仕入れや加工する場合には注意が必要です。
黒にんにく販売には許可申請が必要な場合がある
にんにくの販売は、その販売する物の形態によって許可や届出、資格が必要になる場合があります。
にんにくの販売の場合、食品衛生法にかかるものとかからないものがあり、これが論点となり、許可や届出、資格が必要な場合と必要でない場合が分けられます。
実際には、そのままのにんにくを売る場合と黒にんにくへ加工した場合や仕入れしたものを売る場合では許可や届出の方法が変わってきます。
それぞれのケースについて詳しく書いているので参考にしてください
黒にんにく販売をするための基本的な許可申請について
黒にんにくを販売するための申請パターンは3つあります。
- 許可、届出、資格なしで販売できるケース
- 届出が必要なケース
- 許可が必要なケース
深掘りしていきます。
書類や資格なしで販売できるケース
自身で育てたにんにくをそのまま販売する場合や乾燥のみをさせ、黒にんにくとして販売する場合は許可や届出、資格なしで販売することが可能です。
通常、食品を販売する場合、食品衛生責任者を置く必要があります。
ですが自身で育てたにんにくを販売することに関しては、農業採取業の一環として捉えられることが理由です。
農業採取業としての領域内の場合は許可や届出は必要なく販売することが可能となっています。
にんにくの簡易的な加工の場合は農業採取業の範囲内で行える場合があります。
例えば
- にんにくの分割加工
- にんにくの天日干し・乾燥(黒にんにく加工)
などがあります。
黒にんにくも乾燥のみでできるため、これに含まれます。
届け出が必要なケース
仕入れたにんにくを販売する場合や仕入れ加工をする場合には届出が必要となります。
仕入れた黒にんにくを販売する場合は販売業として捉えられることが理由です。
にんにくそのものを使った加工をする場合でも届出が必要となってきます。
具体例としては熱加工、カットなどをする場合については届出が必要です。
にんにくをそのまま熱加工などをする場合なら届出となりますが、にんにく以外のものを使った場合は「許可」の申請が必要となります。
具体例としては、フライドガーリックやにんにくの素揚げなどが考えられるでしょう。
許可が必要なケース
加工に添加物を加えた場合や調理する場合には許可申請が必要になります。
添加物を加えた加工や調理は製造業や飲食店営業として捉えられ営業の許可申請が必要です。
実際にはにんにくを調理し販売提供する場合やにんにくの揚げ物などを販売する場合は製造業や飲食店営業として捉えられます。
にんにくの加工をする場合、届出をするべきなのか許可をとるべきなのか、ということはしっかりと確認をとっておきたいところですね。
黒にんにくを販売するための許可申請プロセス
仕入れた黒にんにくを販売するためには以下の2点が必要です
- 食品衛生責任者を置くこと
- 届出、もしくは許可の申請を出すこと
それぞれについて詳しく解説をしていきます。
食品衛生責任者の講習を受ける
届出をする場合、許可をとる場合に限らずどちらの場合でも食品衛生責任者を置く必要があります。
食品衛生責任者になるためには各都道府県が行う食品衛生責任者養成講習を受けることが必要です。
講習を受けるには
各都道府県の食品衛生協会が行う講習を受講することで食品衛生責任者になることができます。
申し込みは食品衛生協会から直接申し込むか、保健所を通しての申し込みも可能です。
講習は会場での講習とオンラインのeラーニング形式での受講の2種類があります。
eラーニングなら30日間で6時間の講習になるので忙しくて会場型の講習に参加できない場合はeラーニングがおすすめです。
→ 全国保健所一覧表
食品衛生責任者講習は1日でとれる
食品衛生責任者の講習は6時間の講習を1日かけ受けることで取得することができます。
試験ではなく講習なので、講習最後に簡単なテストがあるのみで取得をすることができたので、講習料金を支払えば誰でも取得することができます。
受講料は都道府県によって様々
食品衛生責任者養成講習の受講料は各都道府県によって様々です。
取得金額が低い都道府県では6000円程度でとれるところもありますが、多くは10000円前後で取得することが可能です。
僕は静岡県での取得をしたので、11000円の受講料でした。
受講料は各都道府県の講習先から確認するようにしてください。
販売の届け出
仕入れた黒にんにくを販売する
にんにくのみを原材料とした加工
などの場合には届出が必要になります。
- 農業採取業→届出不要
- それ以外→届出必要
となりますが、簡単な加工の場合は農業採取業とみなされる場合があります。
分からない場合は必ず保健所に確認をとるようにしてください。
とくに、黒にんにくの場合は、各都道府県に置いて、届け出が必要不必要が変わってくる可能性があります。
→ 全国保健所一覧表
届出の方法
届出をする方法は2種類があります。
- 食品衛生申請等システムからオンライン申請
- 保健所に届出の提出
食品衛生申請等システムであれば、自宅から申請することができるため簡単に申請することができます。
これから販売する予定がある場合は必ず登録だけでもしておくことをおすすめします。
届出なら即日で販売可能
届出は提出後に許可等が必要ないため即日から販売することができます。
食品衛生申請等システムから申請することで、自宅から簡単に申請をすることができます。
食品衛生講習の受講前でも届出は可能
食品衛生申請等システムでは食品衛生責任者養成講習を受ける予定があれば届け出をすることが可能です。
講習前に届出をするためには条件があり、届出から1年以内に食品衛生責任者養成講習を受講することとなっています。
食品衛生者養成講習は定員があったり、予約でいっぱいになっていたりと、予定日に受講できないと期日を過ぎてしまうことも考えられます。
やむない理由以外での欠席はできる限り避けるようにしましょう。
届出に必要な費用
届出に関して費用は一切発生はしません。
販売の届出の対象となるものでは、食品衛生責任者養成講習のみの代金で販売を開始することができます。
販売の許可
野菜は原材料以外のものを加えた加工や調理をして販売する場合は許可が必要です。
許可申請の方法
許可の申請は届出同様に食品衛生申請等システム、もしくは保健所から申請することができます。
届出とは違い、許可が下りるまで販売を開始することができないことが特徴としてあり、書類の提出や施設の調査が必要です。
許可が下りるまでの日数
販売する実態によって許可が下りるまでの日数が変わってきます。
目安程度とはなりますが、キッチンカーや露店では7日程度
実店舗での販売許可は10日程度の日数がかかるようです。
許可にかかる費用
営業許可にかかる費用は手数料として支払う必要があり、都道府県や製造する業種によって変わってきます。
手数料は10000円~30000円ほどとなりますが、露店営業の場合、5000円前後で許可をとれる地域もあるようです。
営業許可の有効期間
営業許可の届出は5年~毎で都度更新が必要です。
許可年数に関しては最短で5年それ以降は都道府県知事が条件を決めることができるようで5~8年有効、といった都道府県が一般的となっています。
黒にんにく販売許可取得の実際例
黒にんにくを販売するためには、基本的に販売物によって必要な許可や届出、資格が変わることを解説してきました。
販売する場所についてはその他の記載や届出が必要な場合があり、実際の例と共に解説をしていきます。
無人販売での運営
あなたが育てた野菜を無人販売で販売する場合には、特別な許可や届出、資格は必要ありません。
自身で育てた野菜を販売する行為は農業採取業に該当し、食品衛生法にかからないことが理由としてありますが、野菜を仕入れての販売やカットしての販売の場合は届出と資格が必要となります。
野菜の無人販売の場合、ほとんどがそのままの野菜を販売することとなると思いますので、野菜を自分が作ったか、仕入れた野菜か、ということが論点になります。
無人販売所での販売に関しては自身の土地で販売をするには、特別な許可や届出は必要ないでしょう。
道の駅での出品販売
道の駅での販売をする場合は、出品する黒にんにくの販売許可や届出の他に道の駅との契約や提携が必要です。
道の駅での出品方法については以下の記事で詳しく解説をしているので参考にしてください。
インターネットを通じた販売
インターネットでの販売をする場合は、許可や届出の他に特定取引商法の表記をすることが必要です。
インターネットの売買の場合、事業の実態などを明らかにする必要があり、所在地や連絡先に加え販売方法の記載をしなければなりません。
あなたが育てたにんにくを乾燥させ、そのままの状態で販売する場合は申請は必要なく
加工する場合は届出や許可、資格が必要になるケースがありますが、インターネットでの販売をする場合は必ず特定取引商法に基づく表記をする必要があります。
実際にぼくが運営する販売ページを貼っておくので確認をしてみてください。
最後にこの販売ページを作る簡単な方法をお伝えします。
一番下までスクロールし、商取引に関する方針をタップで確認することができます。
マルシェ・移動販売
マルシェや移動販売の場合は基本的な許可や届出、資格の他にマルシェ側や店を出す場所に対しての許可や申請が必要になります。
その際に販売許可の話になることもあり、場合によってはマルシェなどの主催側から、必要に応じて書類を求められる場合があるため、主催側の指示に従うようにしてください。
無人販売と同じく、マルシェや移動販売に関しても、自身が育てた黒にんにくを販売する場合は許可や届出、資格は必要なく、加工品や仕入れ、調理に対しては許可や届出、資格が必要となります。
マルシェなどに出店する場合は調理の機会も多くなると思いますので加工販売する場合は注意が必要です。
黒にんにく販売で成功するためのポイント
黒にんにく販売で成功するためには3つのポイントがあるといえます。
- 販売種類の多様化
- 価格戦略
- 価値を提供する
それぞれ深掘りします。
販売種類の多様化
黒にんにくを使った派生商品を開発展開を考えることは大切です。
販売物が黒にんにくのみ、となってしまうと、個人店としては少しさみしく、黒にんにくを使った加工商品を開発していくことはラインナップの充実性に繋がり、リピーターの確保に繋げることも可能でしょう。
たとえば、黒にんにくドレッシング、黒にんにくペーストなどと言ったものの開発を進めることで、消費者の興味を惹くことができます。
価格戦略
黒にんにくはとても希少で、市場では高値で取引されることが多いです。
特に国産のにんにくを使った、黒にんにくは1パックで2,000円というものも珍しくなく、儲かりそうだ…と思って手を出そうとあなたも考えているのでは?
しかし、田舎の無人販売所などで、1パック2,000円のものが売れるか、といわれたらほとんどの人がNO、と答えることでしょう。
黒にんにくは高級志向の商品ですが、あなたが販売するターゲットの市場に合わせた価格設定はとても重要だと言えるでしょう。
価値提供
黒にんにくの販売を成功させるためには運ではなく成功を手繰り寄せるためのマーケティング戦略をとる必要があります。
黒にんにくにはさまざまな効果や効能がある、とされていますが、これらを発信し続けることはとても大切です。
以下、マーケティングについて興味がある方へ↓
マーケティングとは、お客様への価値提供の場でもあり、その満足感にも繋がることが理由です。
マーケティング戦略はとても奥深く、様々なものがあります。
黒にんにく販売をお客様への価値提供で成功させたい、という場合は以下の本が読みやすくおすすめです。
モノではなく価値を売るために マーケティングについて永井孝尚先生に聞いてみた
黒にんにくの販売許可と成功の秘訣
黒にんにくの販売許可と販売を成功させるための秘訣について解説してきました。
以下まとめていきます。
黒にんにくの販売をするためには許可や届出が必要になる場合があります。
- 許可や届出が必要のないケース → 自身で育てたにんにくを乾燥させ黒にんにくとしてそのまま販売する(都道府県によるため保健所へは要確認)
- 届出が必要なケース → 仕入れたにんにくを販売する場合や簡単な加工をし販売をする
- 許可が必要なケース → フライドガーリック、黒にんにくドレッシング、にんにくの素揚げなど、調理加工する場合
農業採取業に該当する場合は許可や届出は不要となる
販売プロセスは
- 食品衛生責任者養成講習を受け食品衛生責任者を置く
- 許可の申請、もしくは届出の提出
食品衛生責任者養成講習は各都道府県が運営する食品衛生協会から受講することで資格を取ることができます。
→ 都道府県別 食品衛生責任者養成講習 一覧
届出や許可の申請は
→ 食品衛生申請等システム
→ 全国保健所一覧表
のどちらかから申請可能です。
販売実例として
- 無人販売 → 特別な許可や申請は必要なしで販売可能
- 道の駅 → 道の駅との提携
- インターネットでの販売 → 特定取引商法に基づく表記をする必要がある
- マルシェ・移動販売 → 販売場所に対する許可が必要、主催者に従う
黒にんにく販売を成功させるには…
- 販売商品の多様化
- 価格戦略
- 価値提供をする
販売許可から、成功法をしっかり読み解いていくことで、黒にんにくの販売事業をサポートできたらとても嬉しく思います。
黒にんにくを販売するに当たり、マルシェやイベント、自身で出店や販売をする機会もあると思います。
現在はインバウンドの需要などもあり、クレジットカードやQR決済などに力を入れている企業もあり、必須となってきました。
ぜひ、以下の記事を参考にクレジットカード決済も導入してみてはどうでしょうか。